眠れない夜を越えて薄明かりの朝を迎えた。

ほっとけば夜型になってしまう。


仕事をするようになって2年も経つけれど、
学生時代のろくでもない生活によって長年かけて染み付いたこの体質は、
なかなか抜けるものではないらしい。

布団に蓄積された汗の匂いと、
煙草の香りは、良くも悪くも僕の生活臭そのもので、
寝るだけのこの部屋には、
どういうわけだか無用のものが増え続け、
洗濯物は湿ったまま、
洗う前よりも酷い匂いを放っている。


考えてどうこうなるものでもないと、
頭では分かってはいるのだけれど、
結局は頭で考えてどうこうなるものでもないので、
事態は劇的な暗転も好転もみせない。
ただ一人、いつまでも無意味にうめいているように感じる。

それでも毎日の繰り返しの中で、
知識が増えたり、
技術が身に付いたり、
身体が慣れていったりということは確実にあるもので、
そのうち、きっと近いうちに、もっともっと好きになれるよ、
という先輩の言葉が、
カラスの声と供に訪れる薄明かりのように。
心地よい音の中に身を委ね、
また僕自身も、僕の欲しい音を自ら奏でることができる日を。

そうなったときに周囲に与える何かは、
きっと今以上に訴えるものがあるのだろうと思う。
思いだけが一丁前の、純粋無垢な半端な行動には到底及ばない、
その音は、
陽が眼に映るその前の、
夜が白み始めるその一瞬の時間のように、
確実に存在し、
必ず訪れわけで、
そしてそれを感じる人がきっと存在するのだろうと思う。

そんな風に感じる瞬間や手応えが、
ようやく最近になって、全くないわけじゃあないんだから、と。

そして僕は窓を開け放つ。
早朝の冷気にくしゃみをし、馬鹿みたいに風邪をひくのだ。